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■キーストーン通信
相続や事業承継対策をお考えの方に知っていただきたいテーマを取り上げ、税理士・司法書士がわかりやすく解説しています。
執筆いただいているのは、相続・事業承継案件を数多く手がけ現場を知り尽くしている先生方です。
愛和税理士法人 代表税理士 岡田 隆先生
愛和税理士法人 社員税理士 戸﨑健志先生
杠(ゆずりは)グループ 代表/司法書士 川原田 慶太先生
※2022年10月、司法書士法人おおさか法務事務所から、
杠司法書士法人及び司法書士法人ゆずりは後見センターへ改組しました。
■ライフナビ通信
事業承継・相続対策・ライフプランニングにまつわるお話し、その時々に思うこと・感じること・伝えたいことを各人のことばで綴っています。
2010年10月創刊号から2018年7月までは代表石野が、以降はコンサルタントやスタッフが持ち回りで執筆しました。
2014年10月17日【第108号】相続対策が日本を救う!・・・?
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【ライフナビ通信 第108号】
~人生百年時代を豊かに生きる~
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目次
◎今日のテーマ
【相続対策が日本を救う!・・・?】
◎編集後記
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◎今日のテーマ
【相続対策が日本を救う!・・・?】
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こんにちは。
キーストーンFPコンサルタンツ代表の石野です。
先週金曜日から始まった相続対策相談&FP相談をさせて
いただくという、
「そうだ!そうだんしてみよう!!」キャンペーン。
おかげさまで、キャンペーン早々多くの方々からご応募を
いただき、とても嬉しく内容を拝見させていただいています。
特にご無沙汰して、最近お会いできていない方々から
「メルマガ毎回楽しみに読んでいます。」等のメッセージを
いただくと、メルマガを書いている私にとって、とても
大きな励みになっています。
みなさまからいただいた弊社へのメッセージは、順次
ホームページにアップさせていただいておりますので、
またお手すきの時にでも、弊社サイトの「お客様の声」
のページをご覧ください。
http://www.kanameishi.com/voice/
キャンペーンに関しては、相続やFPの相談を今はご希望
されない方もアンケートにお答えいただくだけで、キャン
ペーン対象とさせていただきますので、アンケートと
メッセージだけのご応募もぜひ、お待ちしております。
ご応募は、かんたん。
PCサイト:https://www.kanameishi.com/campaign/201410/
スマホ:https://www.kanameishi.com/sp/campaign/201410/
ということで、そろそろ今日の本題を。
本日は、少子高齢化社会の日本と相続の関係について、
私なりの視点で考えてみたいと思います。
題して、
【相続対策が日本を救う!・・・?】
それでは、どうぞ。
■最近、相続相談の仕事を多くさせていただいて、ある仮説
が私の頭のなかで、グルグルとまわり始めました。
それは、どんなことかと言うと、
「超少子高齢化社会を迎えている日本の問題を側面から
少しでも救う方法があるとすれば、そのひとつは相続対策
をしっかりすることなのかも知れない」と言うことです。
ちょっと大げさな仮説かも知れませんが、以下その理由に
ついてお話しさせていただきます。
■昨年末の日銀の発表によると、日本の個人金融資産
総額は1645兆円に達したと言われています。
そのうちの年代別の資産分布を見ると、出典によって少し
数値は異なりますが、少なくとも60代以上の方々で全体の
金融資産の60%以上を占めているようです。
これだけでも日本の金融資産が高齢者の方々に集中している
実態が見て取れるのですが、このデータを純金融資産という
内容に置き換えてみると、さらに驚くべき事実が見えてきます。
■純金融資産と言うのは、自分が持っている金融資産から
住宅ローンなどの負債を引いたものを言うのですが、
内閣府の調査によると、純金融資産で見ると、30代では
マイナス、40代はほぼゼロということになっているようです。
30代40代の働き盛りの子育て世代は、住宅資金以外にも
教育資金など何かと物入りで、経済的にはなかなか資産を
残す余裕がないのが実態です。
ということは、自分で自由に使うことができる純金融資産を
お持ちの方は、実は50代以上、とりわけ60代以上のシニア
層に集中しているということになります。
■60代以上のリタイア世代は、子育てや住宅ローンもほぼ
終わり、退職金なども入っている状態なので、資産はそれ
なりに貯まっている。
それに対して、この世代の支出はというと、一般的には
若い時ほど消費する訳ではなく、これからの長い老後に
備えて、基本的には公的年金の範囲で生活するような
意識に変わっている方が多いのが、特徴と言えます。
資産もなくて何かと物入りな30代40代の働き盛り世代と
資産はあるけどお金をあまり使わなくなる60代以上の
シニア世代。
■このままでいくと、日本の金融資産は60代以上のシニア
世代のなかで滞留していくことになり、日本経済が活性化
せずに景気に悪い影響を与えかねません。
そこで出てきたのが、来年の相続税改正による増税政策。
これは、政府がシニア層の滞留資産を生前贈与などで出し
てもらい、日本経済を活性化させようという思惑が見え隠れ
しているようにも思えます。
■高齢者世代の資産を若年世代へ贈与によって世代間
移転させることで、その贈与分のお金を持ち家や教育
資金に振り分けることができ、結果的に若年層の消費が
活発になれば、日本経済に良い影響を与えることになる。
実際、相続税対策として、子・孫への生前贈与はとても
有効で、私も相続相談では、多くの方に生前贈与を推奨
させていただいています。
多くの親世代は、自分の相続時に余分な相続税を払う
くらいなら、今のうちに子・孫への贈与を実行することに
比較的抵抗は少ないようです。
■親から子・孫への贈与というと、なんだか大人になっても
親のすねをかじっているような印象を受けてしまいがち
ですが、こと生前贈与に関しては、私は最近そうは思わ
なくなりました。
私は、この生前贈与は高度成長期に生きた親世代の
資産を低成長期を生きている子・孫世代へ受け継いで
いく効果的な方法だというくらいに思ってもいいように
感じています。
また、公的年金も高齢者層は受給額が減ってきている
とはいえ、まだしっかり受け取れる世代かも知れません
が、若年層は今後徴収額は増え、受給額は大枠に減ら
される可能性が高く、老後に大きな不安を抱えています。
■そういう意味でも、今の高齢者世代の金融資産の余剰
分はできるだけ生前贈与を使って子・孫世代に譲って
おいても良いのではないかと、私は思います。
ただし、子・孫は生前贈与で受けたお金は、親への感謝
の気持ちを持って、しっかり資産形成しておくべきだとは
思いますが。
また、親と子・孫の間で計画的に生前贈与をすることで、
家族間のコミュニケーションがはかられ、少し希薄になって
いたかもしれない家族の絆が、またよみがえってくるという
経験を私は最近多くさせていただいています。
このあたりについては、編集後記のところで少し触れさせて
いただきますね。
というところで、今日の話はこの辺で。
次回【ライフナビ通信】をお楽しみに。
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◎【編集後記】
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生前贈与を親世代が考えるうえで、実行を躊躇する理由が
あるとすれば、それは主に次のふたつ。
まずひとつは、自分がどれだけ長生きするかわからないので
早いうちに自分の資産を減らすのに不安を感じるという理由。
もうひとつは、子・孫に生前贈与したお金を無駄遣いしないか
ということに不安に感じるという理由。
いずれの理由も今後のライフプランをしっかり考えることで
解消されることが、実は多いのです。
特に親世代の老後のライフプランは、「人生百年シナリオ」
にもとづいて、百年幸せに生きるためのライフプランを描く
ことで、ご自身の贈与にまわせる余剰資金を掴むことが
可能になります。
また、子・孫へ贈与するお金も、子世代のライフプランを
組むことによって、「贈与するお金は、お子さんの老後資金や
お孫さんの大学資金、結婚資金という目的のためにしっかり
貯めてもらうようにしましょう」というような目的意識を
持って、贈与計画を立てていただくようにしています。
贈与計画を組むことで、贈与する側もされる側も“贈与”に
意味を持たせることができるのです。
人間、ある行為に目的や意義を見出すことで、モチベーション
がかかり、そこに生きがいややりがいを感じるようになるもの
なのですね。
生前贈与について、そんな話までさせていただくと、贈与する
側の親世代も贈与される側の子世代も、パッと明るい表情に
変わることが、しばしばあります。
相続対策をするということ。
それは、家族関係を考え直すきっかけになり、大げさな表現
をすると、少子高齢化社会の問題をいくばくかでも解消でき
る可能性を秘めているのではないかと個人的に考えている
今日この頃です。