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厚生年金の代行返上
上場企業の決算(2004年3月期=2003年度実績)発表が一巡しました。好業績が目立ちますが、実態としてはリストラや財務改革などの成果が大きく、本格回復にはもう一息といったところでしょうか。
財務改革にはいろいろあります。その代表には「厚生年金基金の代行返上」が挙げられます。「企業」が厚生年金基金の一部を国に代わって運用・給付している代行部分を「国」に返上することです。では、なぜ返上するのかご存じですか。簡単にいえば、年金資産を企業と国とで別々に運用するよりは一つにまとめて運用した方が効率がよいからです。
厚生年金の代行部分の運用利回りは一定利率(予定利回り)が義務付けられていますが、運用対象である株式市場の低迷により、2000年度以降、予定利回りを割り込む「逆ザヤ」現象が生じています。逆ザヤによる資金不足は個々の企業で穴埋めしなければならず、逆ザヤ現象は企業の財務担当者にとって悩みのタネでした。
これを解消するために上場企業の多くは労働組合と協議し、この1、2年に相次ぎ、厚生年金の代行返上に踏み切っています。代行返上に伴ってこれまで積み立ててきた年金債務を現行の低金利に基づいて費用処理すると、差し引き分が「利益」となります。大手企業では代行部分は数千億円に及び、差し引き分の「利益」が数百億円にのぼるケースも少なくありません。
2003年度の決算では厚生年金の代行返上益を計上する企業が相次ぎました。一般には特別利益として「当期利益」に計上するケースが多いのですが、営業利益に計上する企業もありました。営業利益は本業の儲けを示すバロメーターですが、代行返上益は「本業の儲け」以外なのは言うまでもありません。2004年3月期の好決算の背景には、一連の代行返上益による見かけ上の「嵩上げ」があったことも知っておく必要があるようです。
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