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■キーストーン通信
相続や事業承継対策をお考えの方に知っていただきたいテーマを取り上げ、税理士・司法書士がわかりやすく解説しています。
執筆いただいているのは、相続・事業承継案件を数多く手がけ現場を知り尽くしている先生方です。
愛和税理士法人 代表税理士 岡田 隆先生
愛和税理士法人 社員税理士 戸﨑健志先生
杠(ゆずりは)グループ 代表/司法書士 川原田 慶太先生
※2022年10月、司法書士法人おおさか法務事務所から、
杠司法書士法人及び司法書士法人ゆずりは後見センターへ改組しました。
■ライフナビ通信
事業承継・相続対策・ライフプランニングにまつわるお話し、その時々に思うこと・感じること・伝えたいことを各人のことばで綴っています。
2010年10月創刊号から2018年7月までは代表石野が、以降はコンサルタントやスタッフが持ち回りで執筆しました。
2023年7月21日【キーストーン通信2023年7月号】「先代の遺言」を守らないことはできるか
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【キーストーン通信
2023年7月号】
「先代の遺言」を守らないことはできるか
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書店さんにワンコインを握りしめてコロコロコミックを買いに来る
お子さんのことを思い浮かべて作れ。
キーストーンメールマガジン編集担当野田です。
本や雑誌で使われている紙がどこで作られているかご存知ですか?
今回ご紹介する本、佐々涼子著「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」
で私は初めて知りました。
日本製紙石巻工場。
日本の出版用紙の実に4割がここで作られています。
新聞・文庫本・単行本・雑誌から漫画週刊誌に至るまで、
そのたたずまいにあった紙が使われています。
手触り、ページのめくりやすさ、厚さ、色、光沢・・・
冒頭は、出版社や編集者からの「感覚的」な要求を実現させて
きた技術者の言葉を同著から引用しました。
「(コロコロコミックは)小さくて柔らかい手でページを
めくっても手が切れたりしないでしょう?
1枚の紙を厚くすると、こしが強くなって指を切っちゃう。
だからふわっと厚手の紙になるように開発しているんです」
読み手のことまで考えて紙は作られています。
そして、それを実現させる最終の微調整を行うのは
やはり「人」なのです。
そんな紙を生み出している工場がある場所は石巻。
海沿いにある工場は、東日本大震災で壊滅的な被害を受けました。
2011年3月下旬、工場長は
「まずは1台、動かす」と各課の課長を前に宣言しました。
工場のあまりに無残な姿に、社員がじわじわと心が落ち込んで
気力が失われていくのは目に見えていたので、具体的な目標が
必要だと考えたのです。
工場長が設定した期限は半年。
面と向かって反論する人はいませんでした。
でもみな同じことを思っていました。
「アホか、オッサン!できるか!」
もちろん工場長は、工場の様子は全てわかっています。その上で
誰もが「無理!」と思った半年という期限をなぜ設定したのでしょうか。
後半では、目標設定が持つ力について、ご紹介します。
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◎コラム
「先代の遺言」を守らないことはできるか
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「遺言書は絶対か」
それが今回のテーマです。
例えば遺言書が書かれたのが10年以上前で、その時と今では
資産状況が全く変わっているということは
よくあることです。
この場合、相続人(=相続を受ける人)たちで遺言書とは異なる
内容の遺産分割協議を行うことは「できる」とされています。
つまり「遺言書は絶対ではない」。
遺言書よりも遺産分割協議が優先されるということになるのです。
また、相続人の権利として「遺留分」というものがあります。
これは、民法の中で特定の相続人に対して保障されている、
遺産に対する最低限の権利のことです。
とすると、「遺言書」と「遺留分」ではどちらが優先されるのでしょうか?
「遺言書」
「遺産分割協議」
「遺留分」
「法定相続分」
相続には色んな制度や考え方がありますので、
これらの関係性を押さえておくことはとても大切です。
ともすれば混乱してしまう4つの要素の力関係を
とてもわかりやすく解説していますので、
頭の中がすっきり整理されますよ。
「先代の遺言」を守らないことはできるか
今回解説いただいたのは、
杠(ゆずりは)グループ代表/司法書士 川原田慶太先生。
2022年10月より司法書士法人おおさか法務事務所から、
杠司法書士法人及び司法書士法人ゆずりは後見センターへ
改組されました。
川原田先生は数多くの相続案件を手がけられ、
そのご経験を日本経済新聞電子版で「司法書士が見た相続トラブル百科」として連載。
大好評を博し、書籍化もされました。
弊社とも長年にわたりパートナーとしてお付き合いいただいています。
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◎目標設定が持つ力
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工場長が「まずは半年で1台動かす」と宣言した時、
電気も通っていない状況でした。
期限から逆算していくと、どの工程においても現実離れした日数
しかなく、全ての課長が「無理。絶対無理」と思いました。
でも一方で工場長の言葉には妙な説得力があり、
「1年半後、2年後では遅すぎる」という相反した感情もあったそうです。
「工場を復興させるぞというモチベーションが持つのはせいぜい
半年。客も今は同情で待ってくれるだろうが、あちらも商売。
いつまでも待ってくれるはずがない。」
石巻工場は日本製紙の心臓部であり、出版用紙の供給責任を
大きく担っていました。
「半年で立ち上げられなかったら、会社はどうなる?」
工場長からのそれがメッセージだったのです。
そして、明るい話題が1つもない被災地で、従業員たちが
すがりつくことができる唯一具体的な希望だったのではないか。
佐々涼子著「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」にはそう書かれていました。
こうして、全従業員がこの目標達成に向けて、走り始めました。
工場長は現場から日々あがってくる報告
「できません」
「無理です」
は一切受け付けなかったそうです。
「本当に他に方法はないのか?」と。
でも1つだけ、現場がどれだけ訴えても却下したことが
ありました。
「安全を忘れるな。どんなことがあっても絶対にけがをさせるな」。
こうしてそれぞれの課が「絶対無理」と言っていた工期を
クリアしていったのです。
「これは駅伝だと思いました。
いったんたすきを預けられた課はどんなにくたくたでも困難でも、
次の走者にたすきを渡さなければならない。」
「リタイアするわけにもいかず、
大幅に遅れてブレーキになるわけにもいかない
過酷な長距離走です。」
震災から半年後の9月14日。
工場長でさえ内心「可能性3%」と思っていた半年復興が実現したのです!
今回は、佐々涼子著「紙つなげ!彼らが本の紙を造っている」
からご紹介させていただきました。
「不可能」と思われる目標設定。
それを「やり遂げるぞ」と現場の人に思ってもらえるかどうかの
さじ加減は非常に難しいと思います。
それでも、今回ご紹介したお話しを前に言い訳できる人は
そうそういらっしゃらないと思います。
これほど追いつめられた状況が皆さんにはやってこないことを
祈りつつ、それでも万が一そんな時が訪れた時には、思い出して
いただけると幸いです。
「私たちは、自分たちが思う以上の力を持っている」。
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