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■キーストーン通信
相続や事業承継対策をお考えの方に知っていただきたいテーマを取り上げ、税理士・司法書士がわかりやすく解説しています。
執筆いただいているのは、相続・事業承継案件を数多く手がけ現場を知り尽くしている先生方です。
愛和税理士法人 代表税理士 岡田 隆先生
愛和税理士法人 社員税理士 戸﨑健志先生
杠(ゆずりは)グループ 代表/司法書士 川原田 慶太先生
※2022年10月、司法書士法人おおさか法務事務所から、
杠司法書士法人及び司法書士法人ゆずりは後見センターへ改組しました。
■ライフナビ通信
事業承継・相続対策・ライフプランニングにまつわるお話し、その時々に思うこと・感じること・伝えたいことを各人のことばで綴っています。
2010年10月創刊号から2018年7月までは代表石野が、以降はコンサルタントやスタッフが持ち回りで執筆しました。
2014年5月2日【第97号】自宅で家族を看取るということ
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【ライフナビ通信 第97号】
~人生百年時代を豊かに生きる~
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目次
◎今日のテーマ
【自宅で家族を看取るということ】
◎編集後記
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◎今日のテーマ
【自宅で家族を看取るということ】
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こんにちは。
キーストーンFPコンサルタンツ代表の石野です。
新緑の5月に入り、世の中ではゴールデンウィーク真っ只中。
この週末は、行楽の予定を立てている方も多いことと思い
ますが、私はというと、ほとんど仕事モード。
明日あさってと東京で「相続資産コンサルタント養成集中
講座」の講師を務め、その夜から夜行でシンガポールへ
飛んで、久しぶりにシンガポールとマレーシアの
ジョホールバルを視察し、水曜日未明の夜行で日本へトンボ
帰り。
五十の齢を過ぎたこの身には、いささかハード過ぎる
きらいがありますが、わずかな時間の合間を縫ってでも、
海外の鼓動を定期的に感じておくことは、とても重要な
ことだと思っています。
そちらの模様は次回のこのメルマガでお伝えさせていただく
つもりですが、今回は先週福岡で行なわれたとある生命
保険会社主催の研修会で聞いた話について、少し触れて
みたいと思います。
人間誰しもが「いつか迎える死」について、自分なりに
どう向き合うか、考えさせられるものでした。
題して、
【自宅で家族を看取るということ】
それでは、どうぞ。
■金子哲雄さんの事はご存知の方も多いのではないでしょうか。
流通ジャーナリストであり、『ホンマでっか!?TV』など
数々のテレビのコメンテーターとして活躍されていた方です。
今回、講演を聞かせていただいたのは、その金子さんの
奥様である金子稚子(わかこ)さんによる夫の闘病生活
をどのように支え、どのように看取ったかというお話。
■2012年10月に41歳の若さで肺カルチノイドという難病と
闘い、この世を去った金子哲雄さん。
実は、その闘病生活の後半は、治療の術がないと医師から
見離されたあと、ターミナル(終末)ケアでいかに死と
向き合うかという過酷な闘いだったと稚子さんは語って
くれました。
金子さんご夫妻が終末医療で選んだのは、在宅で死を
迎えるという選択でした。
■通常、死期が迫った8割方の患者は、住み慣れた自宅で
死を迎えることを望むようです。
でも、それができないのは、自宅には医療設備もなく、
医師や看護師が常時いてくれる訳ではないからという
理由によるものが大きいようです。
ましてや、在宅で家族が四六時中重篤な病人の世話をする
ということは、計り知れないほどの心身的な負担がかかる
ことでしょう。
■そういう風に一般的には考えがちですが、稚子さん
からは意外な言葉が返ってきました。
「実は在宅で死ぬことは、そんなに難しくはないのです。」
「死ぬまでの間に、どんなことが起こるのか事前にわかって
いれば、その怖さを乗り越えるために勇気が持てる。」
ということでした。
■実際のところ、病院と在宅で、行われる緩和ケアに
ほとんど違いはないそうです。
死が間近に迫ってきた時、医療者ができることは、病院
でも自宅においても、ほとんど同じなのだそうです。
点滴などの医療行為は、当然家族ではできませんが、
看護師の訪問や医師の往診時に管理してくれ、それ以外の
ことは、家族でほぼまかなうことができるようなのです。
■そんななかで稚子さんが、とても大切だと強調されたのは、
看護師や医師の方々とつながっているという安心感だったと
いうことでした。
何かあった時にメールや電話でコミュニケーションが取れる
という状況が患者や家族をどれだけ勇気づけ、苦しみを軽減
してくれたことか。
在宅医療を担う看護師や医師の方々と病気のことだけでは
なく、メンタルケアを含めた相談ができる人間関係を築く
ことができたことは、金子さんご夫妻にとって大きな幸せ
だったと語ってくれました。
■一方、世界最速のスピードで高齢化が進む日本の医療の
現場で、今大きな問題が起こっているそうです。
施設のそろった大きな病院では、患者を受け入れる医師や
看護師の数が慢性的に不足しており、国も政策的に在宅医療
を推し進めようとしているようです。
特に終末ケアに関しては、地域密着のホームドクターと連携
を取りながら、今後在宅で死を迎える比率が高まりそうです。
■家族の死、そして自分の死といかに向き合うか?
身につまされる問題ですが、日本の医療制度の現実も直視し
ながら、これからしっかり考えていかないといけないですね。
以上、本日は金子稚子さんの講演の内容をポイントを絞って
お伝えさせていただきました。
というところで、本日の話はこの辺で。
では、次回【ライフナビ通信】をお楽しみに。
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◎【編集後記】
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ホームドクターという言葉。
普段良く使われてはいるようですが、医療制度としては
まだまだ日本で根付いているとは言い難いようです。
欧米ではしっかり国の制度として、機能しているところも
あるようで、一家にひとり、かかりつけのホームドクター
を登録し、長年にわたって初期の病気から終末医療の
方針まで、じっくり相談に乗ってくれるようです。
2時間3時間待って、診療時間はたった3分という大病院
の医療体制では決してできない、きめ細やかな対応から
患者と医師との間に深い信頼関係が築かれるのでしょう。
家計のホームドクター、ライフプランのホームドクターを
標榜する我々にとっても、とても参考になる事例です。
いかに生きるか、そしていかに死んでいくか、それぞれの
人生の伴走者として、まだまだやることが一杯あるような
気がします。