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■キーストーン通信
相続や事業承継対策をお考えの方に知っていただきたいテーマを取り上げ、税理士・司法書士がわかりやすく解説しています。
執筆いただいているのは、相続・事業承継案件を数多く手がけ現場を知り尽くしている先生方です。
愛和税理士法人 代表税理士 岡田 隆先生
愛和税理士法人 社員税理士 戸﨑健志先生
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※2022年10月、司法書士法人おおさか法務事務所から、
杠司法書士法人及び司法書士法人ゆずりは後見センターへ改組しました。
■ライフナビ通信
事業承継・相続対策・ライフプランニングにまつわるお話し、その時々に思うこと・感じること・伝えたいことを各人のことばで綴っています。
2010年10月創刊号から2018年7月までは代表石野が、以降はコンサルタントやスタッフが持ち回りで執筆しました。
2013年6月7日【第75号】仕掛けられたバブルが日本を襲う
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【ライフナビ通信 第75号】
~人生百年時代を豊かに生きる~
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目次
◎今日のテーマ
【仕掛けられたバブルが日本を襲う】
◎編集後記
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◎今日のテーマ
【仕掛けられたバブルが日本を襲う】
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こんにちは!
キーストーンFPコンサルタンツ代表の石野です。
週明けにある方と夕食をご一緒させていただいたのですが、
話の途中でその方が、こんな話を切り出されました。
「先週のメルマガで紹介されていた2冊の本を早速購入して、
今読んでいるんですが、すごいことが書いてありますね」
「そうでしょ。あの本は世界の政治や経済について書かれて
いるものですが、まるで世界規模のスパイ小説を読んでいる
ような感覚になりませんか?」
その場で、私も率直な感想を述べさせてもらったのですが、
その2冊の本というのが、先週の【ライフナビ通信】で紹介した
『日本バブルの正体 なぜ世界のマネーは日本に向かうのか』
東洋経済新報社 原田武夫氏
~これから3年、株・不動産は空前の規模で上昇する!~
『ジャパン・シフト 仕掛けられたバブルが日本を襲う』
徳間書店 原田武夫氏
~買われる条件はすでに整っている~
というビジネス書。
早速ですが、今日はこの2冊の本から得た私の“気付き”に
ついて、少し話をさせていただこうと思います。
これは、あくまで私見ですので、こんな見方もあるのかという
くらいの感覚で読んでいただければ幸いです。
題して、
【仕掛けられたバブルが日本を襲う】
それでは、どうぞ。
■年末の安倍政権発足以降、アベノミクスの名のもとに
5月23日の株価暴落までは、1本調子に上がってきた日経平均株価。
それに呼応するかのように為替は円安に振れ、ニューヨークを
始めとする世界の株式市場も活況を呈しているように見えました。
ただ、この株高・円安基調というのは、いつまで、そしてどこまで
続くのかというのが、多くの人の関心事なのではないでしょうか?
■経済が停滞しているなか、市場を株高・円安へ導けたのは、
まぎれもなくアベノミクスと言われる金融緩和政策が
功を奏しているからと言えるでしょう。
そういう意味で、私も安倍総理の経済政策には大いに期待を
寄せている一人で、この政策を他人事のようにとやかく言う
つもりはありません。
ただ、12月以降の半年間、今までの日本の沈滞ムードがまるで
嘘のように好転し、むしろ「上手くいきすぎ」ではないかと
思えるほど、順調にいっていることに、私自身多少の疑問を
感じていたのも事実です。
■「今、日本の政治・経済の世界では、水面下で何が起こって
いるのだろうか?」
「そもそも冷静に考えると、日本経済は人口動態の構造的な
問題が根ざしているなかで、財政赤字や産業の空洞化からくる
雇用問題など、なかなか明るい兆しは見えにくいはずなのに、
日本の金融緩和策をいつまでも続けていくことは、果たして
可能なのか?」
「一歩間違えば、アベノミクスに異論を呈している人たちが
言っているように、今の金融政策の行きつく先は、日本国債の
暴落やハイパーインフレということにならないのか?」
■このような疑問が湧きあがるなか、書店でアベノミクスに
関連すると思われる書物を手に取って、読んだ中にあったのが
上述の2冊。
まず、最初に私が読んだのは、今年4月に発刊された
『日本バブルの正体 なぜ世界のマネーは日本に向かうのか』
という原田武夫氏の新刊だったのですが、上記の私の疑問を
晴らしてくれる気付きが随所にありました。
そして、私がさらに驚いたのは、この本を書く前の昨年10月に
発刊された『ジャパン・シフト 仕掛けられたバブルが日本を襲う』
という本で、既に日本の株・不動産がバブル化することを
具体的に書いている点でした。
■ここで少し著者である原田武夫氏のプロフィールを紹介させて
いただくと、原田氏は1971年生まれで、東大法学部に在学中に
外交官試験に合格、外務省に12年奉職後独立。
本の内容からも、外務省時代からの海外要人とのネットワークは
相当のものと推察され、特に外務省での最後の数年は北朝鮮を担当、
北朝鮮の事情にもかなり明るいようです。
現在は、原田武夫国際戦略情報研究所代表として、国際的な
政治・経済問題を中心に主に講演・執筆活動と次世代の人材育成を
行なっている、と著者紹介にあります。
■さて、これら2冊の本で述べられている骨子を敢えてひと言で
要約するとすれば、
「世界の金融がメルトダウンするなか、行き場を失った世界
マネーは日本に向かい、平成バブルのような株・不動産のバブル
が再び訪れる」というもの。
年末来の日本での株高現象は、日本の金融政策が主導的に引き
起こしているように見えて、実は世界の思惑が働いたなかで、
潜在的な投資需要を見て取った日本政府による「官製バブル」
であると原田氏は明言しています。
■それぞれの本の中身には、日本はもとより米国、欧州、中国、
北朝鮮、さらには中東やヴァチカンなど、我々が知るよしもない
それぞれの実情が、かなり踏み込んで描かれています。
紙面の都合で詳細までお伝えすることはできませんが、その
あたりの記述が「まるでスパイ小説を読んでいるような感覚」
と評した所以です。
それぞれの国や地域が抱える問題や思惑などが複雑に絡み合い、
結果的に世界マネーの向かう先は日本に絞られ、ここぞの
「儲け場」とばかりに日本でバブルが形成されてゆく。
■ここからは、私見となりますが、安倍政権はそれがバブルで
あったとしても、他に打開策が見いだせないなか、アベノミクス
という起死回生の大勝負に打って出ているのではないかと、感じ
られて仕方がありません。
たとえて言うなら、大変落差の大きい終着点の見えないジェット
コースターに敢えて乗り込み、舵取りをしているかのように。
そして、このジェットコースターの行き先はどこに向かうのか?
■そんななか、ここのところの日本の株式市場や為替相場は、
かなり神経質な動きを示しています。
それを中・長期的な調整局面と見るのか、マーケット自体に
早くも変調の兆しが出ていると見るのか、今後の日本や世界の
動向を見る上で、目が離せない状況になってきました。
今、日本や世界では、水面下でどんなことが起こっているのか?
■さまざまな情報のなかから重要と思われるものを組み合わせ、
そこからひとつの仮説を立てながら物事を判断し、自分の
行動指針にしていく。
そんな情報リテラシー(活用力)を身に付けていくことが、
とても大事な時代になっているようにも思います。
以上、本日はおもに原田武夫氏の書籍からの気付きについて、
私なりの見方を書かせていただきました。
では、今日のところはこの辺で。
次回【ライフナビ通信】をお楽しみに。
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◎【編集後記】
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先週今週と日本や世界レベルの少しマクロな話題になって
しまいました。
日本や世界の政治・経済の状況が様変わりするとしたら、
私たちの生活にどんな影響を及ぼすのでしょうか?
意外と日々の生活は淡々としたもので、時代がどんなに変わ
ろうとも、表面的には何も変わらないのかも知れません。
日本の近代史を見ても、明治維新や終戦後の動乱期にも
日本国民は、その場その場の状況に応じて、日々の生活を
逞しく生きてきたように思います。
ただ、これからの時代は、一部の有識者の間では情報格差
の時代とも言われているようで、さまざまな情報価値を理解し、
その情報を「知っているかどうか」が、大きな意味を持つこと
もあるようです。
もちろん、人によって同じ情報でも、その価値観は違うと思い
ますので一概には言えませんが、自分の関心事については、
日頃から情報のアンテナを張り巡らせ、「なぜ?どうして?」
という問題意識を持っておくことが大事なように思います。