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■キーストーン通信
相続や事業承継対策をお考えの方に知っていただきたいテーマを取り上げ、税理士・司法書士がわかりやすく解説しています。
執筆いただいているのは、相続・事業承継案件を数多く手がけ現場を知り尽くしている先生方です。
愛和税理士法人 代表税理士 岡田 隆先生
愛和税理士法人 社員税理士 戸﨑健志先生
杠(ゆずりは)グループ 代表/司法書士 川原田 慶太先生
※2022年10月、司法書士法人おおさか法務事務所から、
杠司法書士法人及び司法書士法人ゆずりは後見センターへ改組しました。
■ライフナビ通信
事業承継・相続対策・ライフプランニングにまつわるお話し、その時々に思うこと・感じること・伝えたいことを各人のことばで綴っています。
2010年10月創刊号から2018年7月までは代表石野が、以降はコンサルタントやスタッフが持ち回りで執筆しました。
2012年11月2日【第58号】人生の集大成として相続を考える
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【ライフナビ通信 第58号】
~人生百年時代を豊かに生きる~
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目次
◎今日のテーマ
【人生の集大成として相続を考える】
◎編集後記
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◎今日のテーマ
【人生の集大成として相続を考える】
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こんにちは!
キーストーンFPコンサルタンツ代表の石野です。
今日は、ちょっと「相続」についてのお話をさせていただこうと
思っています。
今年に入って、私の中心業務のひとつに「相続・事業承継」を
据えていたのですが、ここのところ「相続」についてのご相談を
いただくケースが目立って増えてきました。
高度成長期にこの国を背負って立ってくれた年代もそろそろ
リタイアを迎える時期に差し掛かり。
親世代が自分の資産や事業を次の世代にどう引き継ぐか、
または子世代がそれをどう受け継ぐかということを考える人が
とても多くなってきているようです。
相続と言うと、多くの人が他人ごとのように思われるかも知れ
ませんが、これからはしっかり考えておく必要がありそうです。
今回は、そんな私がいくつかの事案を対応させていただいて、
実際に行っていることについて、少し触れてみたいと思います。
題して、
【人生の集大成として相続を考える】
それではどうぞ。
■「相続」というと、資産が数億円以上あるお金持ちだけの話と
思っていませんか?
実は、私もこの仕事に就くまでは、いやつい数年前までは、
そんな風に考えていました。
しかし、高齢化が進む今の時代、相続はとても身近な問題になって
きているように感じます。
■ある調査によると、相続がいわゆる親族間で争族に発展している
ケースで興味深い結果がでていたそうです。
通常、相続問題が法廷で争われるケースというのは、それなりの
財産額でもめていると思われがちですが、実は約3割程度は相続税が
かからない程度の案件なのだそうです。
相続と言うのは、金銭面の問題ももちろんあるでしょうが、感情面の
もつれから生ずる問題もケアする必要があるのですね。
■さて、巷では「相続対策をする」というような表現が使われていますが、
そもそも「相続」というものにはどういう対策が必要なのでしょうか?
一般的に「相続対策」とは、①遺産を親族間でもめることなく分割する
②相続税をできるだけ低く抑える③納税資金の準備を考えることで、
諸々の最善プランを事前に計画し、実行に移すことが重要です。
しかし、多くの人は、漠然と相続対策をしないといけないことはわかって
いても、どこから手を付けて良いかがわからないと言うのが現状のよう
なのです。
■また、相続の難しいところは、資産を遺す人と受け継ぐ人のそれぞれの
立場の違いによって、上記の法定の事例のように感情的なわだかまりが
生じやすく、一筋縄ではことが運びにくいという点にあります。
相続のことを遺産を受け継ぐ子の立場から親に言い出すと、親にして
みれば当然良い気持ちはしないものですし、かと言って親の方は自分の
余生をつつがなく暮らせるかどうかわからない段階で、遺産分割について
考えたくないというのも人情です。
そもそも、相続を考える必要が生じてきた人達は、ご自身の資産が
どれだけあるか正確に把握していないことが多いようで、この場合まずは
資産状況の全体像を知ることが、相続対策の第一歩となります。
■一方、資産を遺す親の立場から言うと、自分の資産状況の全体像が
わかったとしても、生前に子供たちにその内容を明かしたくないという
こともあるようで、これも相続対策が進まない要因となっています。
つまり、相続と言うのは、遺す側と受け取る側が双方ともに問題意識は
あるものの、どちらからも言い出す機会が見つけられずにズルズルと
時間だけが経過していくというケースがきわめて多く、問題を先送りする
かたちになってしまうようです。
そんな中、私達FPがライフプラン相談をさせていただくと、相続の問題が
明らかになり、対策を考える必要性があることに気づいていただけることが
多々あります。
■相続を考えるということは、実は自分のライフプランを考え、人生の
集大成として、誰に何を遺すのかと言うことを確認する行為に他なりません。
そういう意味では、相続と言うのはただ単にお金や不動産などの物品を遺す
だけではなく、自分が生きてきた証しとして、むしろ自分の思いを大切な人達に
遺すことも大事なことなのかも知れません。
最近は、そんな思いを遺す手段として、遺言という形式的なものにとらわれない
エンディング・ノートというものが、世間でも広がりつつあるようです。
■さて、では我々FPが相続対策の相談を受けるにあたっての事例を少しご紹介
しましょう。
まずは、ご相談を受ける相手ですが、これは圧倒的に相続を受ける側である
被相続人(親)のご子息(多くは長男様)からのご依頼が多いです。
将来、突然父(または母)に相続が発生したら、親族でもめることになるので
相続税対策を含め、できれば早い段階で対策をしておきたいというご要望です。
■そして、私たちが最初にやることは、ご相談者の家族関係や被相続人である
親御さんの状況についての詳細のヒアリング。
まずは、現状把握をして、相続が起こった時に考えうる問題点について相談者と
共有し、時には税理士や司法書士、そして不動産の専門家などの協力を仰ぎ
ながら、その対策についての仮説を立てます。
多くの場合、このまま相続対策をしなかった場合と有効な相続対策をした場合で、
相続税の圧縮や納税資金の確保、相続人への円滑な遺産分割など、大きな違い
がでることをご相談者には理解していただけます。
■しかし、実はここからが本番なのです。
ご相談者であるご子息が、相続対策をしておくことの重要性を親御さんに誤解なく
聞き入れてもらい、私たちがご相談者を含め親御さんと一緒に本当の意味の
相続対策の話までたどり着けるかどうか。
もし、私たちが親御さんとお話しする機会をいただけたら、かなりの可能性で
良い話に発展することが多いのですが、ご相談者と親御さんの話が不調に終わ
れば、再度仕切り直しということもあります。
■相続と言うのは、まさしくその人にとっての人生の集大成。
その人がどんな生き方をしてきたかと言うことにも関わるとても奥深い領域の話
なんですね。
では、本日のところはこの辺で。
次回【ライフナビ通信】をお楽しみに。
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◎【編集後記】
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本日は、ズバリ相続についてのお話をさせていただき
ましたが、実は私も個人的に先日相続の手続きを終えた
ばかりでして。
今年の3月に父が亡くなり、それから約7か月、相続に
ついての貴重な経験をさせていただきました。
幸い、うちは相続税を払うほどの資産があったわけでは
なかったので、手続きは難しくはなかったのですが、それ
なりに結構手間はかかりました。
父が死んだあとの遺産の整理や残された家族での
遺産分割についての協議書の作成など。
取り立てて大きな揉め事となったということではないですが、
やはりそれぞれの家族には、それぞれの思いがあるので、
意見の食い違いもあり、相続は難しいものだとあらためて
感じました。
人生の後半戦に差し掛かっている私もそろそろ人生の
集大成の絵を描き始める年頃かも知れませんね。
相続について、これからも深く考えていこうと思っています。