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■キーストーン通信
相続や事業承継対策をお考えの方に知っていただきたいテーマを取り上げ、税理士・司法書士がわかりやすく解説しています。
執筆いただいているのは、相続・事業承継案件を数多く手がけ現場を知り尽くしている先生方です。
愛和税理士法人 代表税理士 岡田 隆先生
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※2022年10月、司法書士法人おおさか法務事務所から、
杠司法書士法人及び司法書士法人ゆずりは後見センターへ改組しました。
■ライフナビ通信
事業承継・相続対策・ライフプランニングにまつわるお話し、その時々に思うこと・感じること・伝えたいことを各人のことばで綴っています。
2010年10月創刊号から2018年7月までは代表石野が、以降はコンサルタントやスタッフが持ち回りで執筆しました。
2012年9月7日【第54号】今の時代の“資産移転”というキーワード
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【ライフナビ通信 第54号】
~人生百年時代を豊かに生きる~
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目次
◎今日のテーマ
【今の時代の“資産移転”というキーワード】
◎編集後記
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◎今日のテーマ
【今の時代の“資産移転”というキーワード】
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こんにちは!
キーストーンFPコンサルタンツ代表の石野です。
先週の日曜日、弊社セミナールームにて、かねてより弊社と
交流のあるカイナハレ・ハワイの三田社長による「夢のハワイ
不動産購入セミナー」を開催いたしました。
今回セミナーに参加された方々は、20代から50代までの男女
半々くらいの比率でしたが、みなさん三田社長の話を食い入る
ように真剣に聞かれていました。
ほとんどの方は、既にハワイに何度か行かれているご様子で
セミナーでの質問の内容もかなり具体的なものが多かったです。
海外で不動産を購入したり維持する時にかかる税金のことや
それを賃貸に出した時の利回りなど、「夢のハワイ」を現実的に
考えている方も結構いらっしゃるものですね。
もともと弊社は、そういう方々の夢を実現するためのお手伝いを
させていただく会社だと考えていますので、今後も何がしかの形で受講者
の方々とも関わっていきたいと思っています。
一般的には、ハワイというと海外旅行で「行くところ」という感覚が
ありましたが、これからはハワイを投資先や「住むところ」として
考える人がますます増えてくるかもしれませんね。
さて、今回はそんな将来の夢を現実のものとしようと考えている
人たちが、関心を持たれるような話題をお届けしたいと思います。
題して、
【今の時代の“資産移転”というキーワード】
それでは、どうぞ。
■最近、お客様とファイナンシャルプランの相談をさせていただいて、
私自身大きなテーマとして考えるようになったキーワードがあります。
それは何かと言いますと、ズバリ“資産移転”。
これは、特に今の日本の状況や税制のことを考えると、より注意深く
見ていく必要があるように感じるテーマです。
■上記のハワイの不動産購入にしても、国内の資産を海外にそれも
不動産に移転することを意味しますし、雑誌の特集などでも海外へ
“資産移転”するという記事をよく見かけるようになりました。
雑誌の特集などで海外に日本人の資産が逃げているという記事を
見るにつけ、この国でも自分の資産は自分で守らないといけない
時代に既に入ったという印象を持たずにはおれません。
その背景には、日本の財政問題があり、赤字国債発行額(つまり借金)
が税収額(実質収入)を上回るという異常な国家予算を組み続けている
ことへの不安の表れであるような気がします。
■世界的投資家ジョージ・ソロス氏のアドバイザーを務めた経験のある
藤巻健史氏の近著「日本大沈没」では、かなり辛辣に日本の財政危機
について、触れています。
藤巻氏の言葉を借りると、日本は将来財政破綻かハイパーインフレに
なるリスクが高く、一旦日本は大混乱に陥るが、その後復興を遂げるで
あろうと大胆な予測をしています。
藤巻氏の予想が当たるか当たらないかは別にして、日本の財政リスクが
高まっているという事実を事実として受け止めるとするならば、何がしかの
手立てを講ずる必要があるのではないかと私も考えています。
■では、その具体的な方策は何かということになりますが、その一つが
海外への“資産移転”ということになるかも知れません。
ただし、上記のように海外で不動産を購入するとかロングステイや移住に
関心があるという人でない限り、海外への“資産移転”というのは、現実的
に捉えることは少しハードルが高いようにも思います。
海外に資産を持つということは、海外税務や日本の税務についても勉強
する必要が出てきますし、日本人の場合言葉の問題もあり、越えないと
いけない壁がいくつかあるように感じます。
■海外への“資産移転”については、藤巻氏は「やり過ぎ」と言及したうえで
別の方策について触れています。
その方策というのが、日本国内での外貨資産への“資産移転”。
実はこの方策については、私も藤巻氏と同じような考えを持って、最近の
FP相談では、全資産のうちのある程度の資産を外貨建てのものにされては
という提案をする場面が多くなってきています。
■今、日本の円は空前の円高基調。
この円高がいつまで続くか、いくらまで円高になるのかについては、
誰も分かりません。
ただ、少なくとも言えることは、将来この円高がこれ以上進む可能性と
ある時期から円の価値が反転して円安になる可能性のどちらが高いか?
■いや、それ以上に藤巻氏が言っているように、将来日本の財政リスクが
より鮮明になった場合、ハイパーインフレに陥る可能性があり、円の価値が
暴落することも念頭に置いておく必要があるのではないかということです。
財政破綻だ、ハイパーインフレだ、と不安を煽るような表現をしてしまって恐縮
ですが、これからの時代は何が起こっても不思議ではないことも考えつつ、
まさかのことに備えて、資産分散を進めておくべきだと思います。
では、資産分散をする通貨や金融商品は何がいいかと言うことになりますが、
これは一般的には世界の基軸通貨とされる米ドル建てのもので、比較的
安全確実な金融商品が良いのではないかと個人的には考えています。
■また、外貨建ての金融商品は日本国内の円建てによる金融商品と比べて
利回りが全般的に有利で、5年10年のスパンで考えると資産運用としての魅力
もあったりします。
超低金利の時代にあって、少しでも有利な資産運用も考えておきたいものです。
特に今後、公的年金の受給額が少子高齢化の流れで減額されることも予想
しつつ、資産設計については、早い段階から準備をしておく必要をFPとして、
特に感じています。
■我々FPの仕事は、突き詰めていくと「日本人の老後を明るくする!」ことが
今後の中心業務になっていくようにも思います。
今回は、“資産移転”というテーマで、ファイナンシャルプランを考えてみましたが、
今後も様々な視点から人生とお金について、考えていきたいと思っております。
では、次回【ライフナビ通信】をお楽しみに。
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◎【編集後記】
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今回の“資産移転”というテーマ。
実は、私は個人的にもう一つの観点から“資産移転”をすすめる
べきではないか?というふうに思っていることがあります。
それは何かというと、世代間の“資産移転”。
つまり、親から子へ、そして孫へという形で生前に資産を受け継いで
いくという考え方。
世代間の資産移転というと、資産家の方の相続対策というイメージを
持たれるかも知れませんが、これからの時代一般家庭でも少し考え
ても良いのではと思っています。
現在、1,500兆円あるとされる個人金融資産のうち、60歳以上の方で
占める割合は約60%あるとされています。
この多くの資産が、老後の不安を抱えながら、消費に回らず眠ったまま
相続を迎えるとしたら?
平成23年度の税制大綱で、政府は相続税の実質増税の方針を明ら
かにしています。
また、一方で住宅取得の税制優遇に絡めた親から子への贈与の優遇
措置などで、国は消費促進をはかり、経済の活性化にもつなげたい
考えでもあります。
自分の人生のゴール(死に時)がわかっていれば、お金をどれくらい貯めて、
どう使い切るかということも明確に出来るんですが、こればっかりはなかなか
思い通りにはいかないもので、難しいですね。