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■キーストーン通信
相続や事業承継対策をお考えの方に知っていただきたいテーマを取り上げ、税理士・司法書士がわかりやすく解説しています。
執筆いただいているのは、相続・事業承継案件を数多く手がけ現場を知り尽くしている先生方です。
愛和税理士法人 代表税理士 岡田 隆先生
愛和税理士法人 社員税理士 戸﨑健志先生
杠(ゆずりは)グループ 代表/司法書士 川原田 慶太先生
※2022年10月、司法書士法人おおさか法務事務所から、
杠司法書士法人及び司法書士法人ゆずりは後見センターへ改組しました。
■ライフナビ通信
事業承継・相続対策・ライフプランニングにまつわるお話し、その時々に思うこと・感じること・伝えたいことを各人のことばで綴っています。
2010年10月創刊号から2018年7月までは代表石野が、以降はコンサルタントやスタッフが持ち回りで執筆しました。
2012年4月20日【第43号】はたして私たちは年金をもらえるのか?
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【ライフナビ通信 第43号】
~人生百年時代を豊かに生きる~
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目次
◎今日のテーマ
【はたして私たちは年金をもらえるのか?】
◎編集後記
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◎今日のテーマ
【はたして私たちは年金をもらえるのか?】
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こんにちは!
キーストーンFPコンサルタンツ代表の石野です。
先日、弊社にライフプランの相談に来られたお客様より、
あるご質問をいただきました。
「うちの娘が二十歳になったので、本来なら国民年金に加入
しないといけないと思うのですが、これって本当に加入すべき
ものなのでしょうか?」
「娘はまだ学生なんですが、娘の友達の間でも将来年金は
あてにできないので、加入する必要はないんじゃないかって
言ってるようで…」
「娘を国民年金に加入させるよりは、むしろ娘の老後のことを
考えて、個人的に違う貯蓄をさせたほうが良いようにも思うの
ですが…」
さて、こういう質問に対し、FPとしてどう答えるべきなのか。
とても難しい問題ですが、今日はみなさんと一緒に日本の
公的年金について、少し考えてみたいと思います。
題して、
【はたして私たちは年金をもらえるのか?】
それでは、どうぞ。
■『日本国内にお住いの20歳から60歳までの方は、公的年金に
加入することが法律で義務付けられています。』
20歳を迎える人に日本年金機構から届く国民年金加入案内の
手紙には、確かにそのようにうたわれています。
ということは、20歳から60歳までの人は基本的に公的年金に加入
しないといけないということなのでしょうが、実態はどうもそうは
なっていないようです。
■厚生労働省発表の2010年度の国民年金の納付率は59.3%。
なんと4割の人が、何らかの理由で国民年金を納付していないと
いうことになります。
ただ、この納付率59.3%という数字は、今回のご相談者のような
ケースの学生や低所得(無収入)を理由に納付を免除や猶予されて
いる人を除く数字ということなので、実情はさらに深刻です。
■国民年金の納付率は、ここ10年来60%をわずかに上回る程度の
数字で推移してきましたが、2010年度についに60%を割り込み、
今後この数字はさらに下落傾向が強まるとの懸念もぬぐえません。
その理由のひとつとして挙げられるのは、日本の雇用形態の変化
にあると言われています。
雇用側の企業が景気の先行きを不安視し、更に年々上がっていく
社会保険料の負担を抑えるために非正規労働者の比率を上げて
おり、企業防衛をはかっているという実態があります。
■これから更に社会保険料負担は増加の一途をたどり、2025年度
には会社員の社会保険料(労使折半)負担は今の水準のほぼ倍の
なんと年収の3割を超える見通しのようです。
正規雇用の会社員の場合、自動的に給与天引きされるため、社会
保険料の負担増は、ある種の「見えない増税」とも言えなくありません。
一方、非正規労働者は、低い賃金に抑えられる傾向にあり、公的な
社会保障制度も自己負担となる場合が多く、結果的に国民年金も
払えない状況に陥っている、もしくは将来の年金制度をあてにでき
ないと年金の支払いを自主的に止めているとも考えられます。
■このような状況が進めば、
企業側 ⇒ 正規雇用から非正規雇用へのシフト(又は海外での雇用)
正規雇用者 ⇒ 社会保険負担増 ⇒ 手取り所得の減少
非正規雇用者 ⇒ 年金が払えない、もしくは自主的に未納
(非就労者)
という構図に拍車がかかり、公的年金制度自体が立ちいかなくなる
危険性をはらんでいます。
■ましてや団塊の世代が今年から順次65歳となって、現役世代から
年金受給世代となる2012年問題も表面化し、年金の納付者と受給者
のバランスもどんどん悪くなっていくことは既に明白です。
日本の公的年金制度の最大の問題点は、現役世代が納付した年金
原資をそのまま年金受給者に自転車操業的にまわしていく「賦課方式」
を取っていることだと言われています。
ただでさえ少子高齢化で働き手が減るうえに年金の納付率が下がり、
今後はむしろ年金受給者が飛躍的に増え続けていくとすれば…?
■はたして、現役世代の我々は将来公的年金をどれだけもらうことが
出来るのでしょうか?
私が、お客様にファイナンシャルプランニングのシミュレーションをさせて
いただくとき、今の年金制度でもらえる年金額を前提に老後設計をする
ことは非常に危険だということを常々お伝えしています。
公的年金がもし最悪受け取れない状況となったとしても、老後生活が
安心して過ごせるようにするためにしておくべきことは何なのか?
もしかしたら、それくらいのつもりで自分のライフプランをしっかり考えて
おかないと、大変なことになる時代がもうすぐそこに来ているのかも
知れません。
■どう考えても、自分の将来を国や他人まかせですませられる時代は、
既に終わっているように感じます。
次回、【ライフナビ通信】では、今のような将来を見通せない時代に
どのように資産形成をしていけばいいかの具体的なお話をさせて
いただこうと思っています。
では、次回【ライフナビ通信】をお楽しみに。
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◎【編集後記】
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先週、仕事の合間に2時間ほど時間が空いたので、久しぶりに
映画を観に行ってきました。
観た映画は、『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』
名優メリル・ストリープがアカデミー主演賞をとった心にしみる
とても良い映画でした。
マーガレット・サッチャーと言えば、このメルマガ第2号の
【今、日本がお手本にすべき、とある国とは?】でも紹介させて
いただいた財政赤字を立て直し、瀕死の英国を救った名首相。
映画では、その栄光の日々と晩年認知症を患ったサッチャー女史
の孤独を描いていますが、その生涯で彼女が何を大切にしてきたか
について、とても共感できる部分がありました。
「夢を抱くこと」
「どんな時も揺るがない確固たる自分の信条」
「強いリーダーシップと人への優しさ」
「家族(特に夫)への愛情と仕事への情熱」
そして、「孤独」
これは、あくまでも私の主観ですので、本当のサッチャー女史の
人生はご自身にしかわかるものではないと思います。
でも、人間どんなに脚光を浴びた人生を過ごしているように見えても、
必ず「光」と「影」の部分があるものだと、多くの方々の人生を見守る
仕事をさせていただいて、私自身つくづくそう思うことがあります。
そして、その「影」の部分もその人を構成する重要なファクターで、
その「影」の部分といかにうまく付き合っていくかを知ることが、
人生を豊かに過ごしていくひとつのコツのようにも思えます。
最後に“わかったようなこと”を書いてしまいまして、すみません。
いい映画を観たあとの余韻に浸った勘違い男の「戯言(たわごと)」
と、お許しのほどを。