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■キーストーン通信
相続や事業承継対策をお考えの方に知っていただきたいテーマを取り上げ、税理士・司法書士がわかりやすく解説しています。
執筆いただいているのは、相続・事業承継案件を数多く手がけ現場を知り尽くしている先生方です。
愛和税理士法人 代表税理士 岡田 隆先生
愛和税理士法人 社員税理士 戸﨑健志先生
杠(ゆずりは)グループ 代表/司法書士 川原田 慶太先生
※2022年10月、司法書士法人おおさか法務事務所から、
杠司法書士法人及び司法書士法人ゆずりは後見センターへ改組しました。
■ライフナビ通信
事業承継・相続対策・ライフプランニングにまつわるお話し、その時々に思うこと・感じること・伝えたいことを各人のことばで綴っています。
2010年10月創刊号から2018年7月までは代表石野が、以降はコンサルタントやスタッフが持ち回りで執筆しました。
2011年4月17日【第15号】日本の常識は世界の非常識
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目次
◎今日のテーマ
【日本の常識は世界の非常識】
◎編集後記
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◎今日のテーマ
【日本の常識は世界の非常識】
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皆さん、こんにちは!
キーストーンFPコンサルタンツ代表の石野です。
東日本大震災から早いもので1ヶ月。
この震災は様々な意味で、日本人の価値観を
一変させたように感じます。
特に「危機管理」の領域で、不測の事態に備える
重要性がクローズアップされました。
欧米の経営者の間では、「ネバーセイ“ネバー”」
(“たぶん起こらないだろう”と決して言うな)
と言って、危機管理の意識が特に強いようです。
今回の震災は、
・自然災害や原発の脅威、
・食の安全性やライフライン(水・電気・通信)の確保、
そして、そこから起こり得るありとあらゆるリスクへの対応。
そんなことを考えさせられる大きなきっかけとなりました。
しかし、今回のような震災が無かったとしても将来かなりの
可能性で起こるであろう日本人にとってのリスクがあります。
今回の【ライフナビ通信】では、そんな「リスク」にフォーカス
して、お届けいたします。
題して、【日本の常識は世界の非常識】
それでは、どうぞ。
■様々な意味合いでのリスク管理について。
ほとんどの人が将来起こり得るリスクに対して、
何がしかの対策を考えていると思います。
例えば、損害保険や生命保険。
保険は、まさしく“万が一”のときの備えとして
とても重要であるということ言うまでもありません。
■一方、“万が一”が起こらず、つつがなく人生を
まっとうした場合のリスクについては、日本人は
今まではあまり考えてこなかったように思います。
■つまり、「長生きのリスク」。
■戦後、日本は高度成長に支えられ、自分の老後は
国の年金制度と会社の退職金でまかなっていける
という一種の神話がありました。
■しかし、今の日本は少子高齢化と終身雇用制の
事実上の崩壊により、老後のリスクがひたひたと
迫っています。
企業が雇用を守れなくなり、国が年金制度の見直し
を迫られる中、日本人は自分の老後のリスクに
対してどのようにしていけばいいのでしょうか?
■この日本人の老後問題を考えるにあたって、
日本の公的年金制度について少し触れておく
必要があると思います。
■日本の公的年金制度の一番の問題点。
それは、「賦課(ふか)方式」にあると言われています。
■一般的に公的年金制度は「積立方式」と「賦課方式」
の2種類があります。
それぞれの仕組みをここで簡単にご紹介しておきましょう。
■「積立方式」とは、積み立てたお金をそれぞれ自分の
ために運用し、将来の自分の年金原資として積み立て
をするという方式のこと。
■それに対して「賦課方式」というのは、
勤労世代から徴収した年金原資を、
そのまま今のお年寄りの年金給付に充てる
自転車操業的な方式なのです。
■この「賦課方式」。
国の人口構成がピラミッド型の場合であれば、
勤労世代と老人世代の受給バランスが保て、
うまく機能していきます。
■しかし、現在の日本のように急速に少子高齢化が進み、
人口構成が逆ピラミッド型のようにになっていくと、
年金制度そのものがもたなくなってしまうと言われています。
■実は、世界の先進諸国でも「賦課方式」を採用している
国は多いのですが、そのほとんどが「積立方式」との
併用を取っています。
■では、「積立方式」に問題がないかと言うと、
もちろんそうでもありません。
■「積立方式」の最大の問題は、長期にわたって各人の
年金運用をするので、運用に失敗すると将来の年金が
目減りしてしまうというリスクがつきまとうということです。
そのため、「積立方式」を採用している国々では、
国民に対して、さかんに投資教育を行っています。
■日本の近隣地域で投資教育が盛んな国が香港。
■香港には、強制積立年金制度(MPF)という100%
「積立方式」を取っている公的年金制度があります。
■このMPF。労使がそれぞれ給与の5%づつを拠出し、
その原資を各人が自己責任で、民間の金融機関で運用していく
制度なので、当然運用リスクが発生します。
■ただ、香港の国民は小さい時から投資教育を
受けてきているので、この運用リスクは「当然取るべき
リスク」と考えているようです。
■「投資は怖いもの」と多くの日本人が考えるのに対し、
「投資は老後資金準備のために必要なもの」と考え、
むしろ「リスクを取らずにお金を寝かせておくことの方が
将来のリスクが高い」と香港並びに投資教育を受けてきた
欧米人は考えるようです。
■まさに、こと投資に関しては日本の常識は、
海外では非常識と写っているようです。
■「今リスクをとらないことで、将来起こり得る老後のリスク」
次回【ライフナビ通信】では、このあたりのことについて、
私が香港に行って実際に見聞したことをお伝えしたいと
思います。
では、次回【ライフナビ通信】もどうぞお楽しみに。
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◎【編集後記】
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今回号、そして【ライフナビ通信】創刊号からしばらく
シリーズで書かせていただいた海外の金融事情。
実はその内容は、現在懇意にさせていただいている
香港の現地法人グローバルサポート社のセミナーや
直接聞いた話をかなり参考にしています。
このグローバルサポート社は、もともとはとある日本の
保険代理店が香港に進出し、その後、
現地に住む日本人のグローバル化のお手伝いをする会社として
独立しました。
現在は、香港の他に上海やタイ、バンクーバーなどにも
支店展開し、文字通り金融・投資の世界での「日本の
常識が海外の非常識」となっていることなどについて、
わかりやすく日本でもセミナーを開催しています。
特に今回号で触れさせていただいた世界の公的年金に
ついては、グローバルサポート社の「年金セミナー」で
更に詳しく話をお聞きいただくことができます。
私も受講しましたが、現状の日本の年金制度の問題点を
世界の年金制度との比較の中で考えられるので、
とても理解しやすく、勉強になりました。
セミナーの詳細は、下段で案内させていただいていますので、
是非受けてみられることをお奨めします。
次回号もグローバルサポート社や香港で直接見聞した
「海外の常識」について、私なりの意見も交え配信いたし
ますので、ご参考にしていただければ幸いです。